■ 「ヨミヂ」あるいは「ヨミノクニ」という言葉は日本古来の後生観を表す言葉です。
この「ヨミ」という言葉を漢字として書き表わした場合、「黄泉」という字を当てますが、これは仏教伝来と時同じくして大陸から漢字を導入した際に、文字表記を持たない日本古来の、発声のみ、発音だけが存在する口語を、古事記、日本紀に書き記すための便宜上、死後の世界である、という共通項のみを括り出し、このような黄の泉流れる地獄を表わす文字が随分と簡単に割り当てられました。
■ さて、「ヨミノクニ」と同質の場所を指す言葉として「ネノクニ」があります。この「ネ」の語にも都合の上で漢字を割り当てられましたが、その成立過程においても思慮深き工程や慎重な選定があったわけでもなく、安易に発声が同じである「根」の字を当てましたので、「黄泉」と「根」の漢字自体の意味が相互に作用した結果、仏教伝来以前に存在していたであろう後生は地の底深くに固定され、満足に検討されることも無く、現代においてもその観念が普及しています。
■ しかし本来、「ネ」という発音は、此方よりはるか遠くの場所を指し示す語、であるらしく、同時に死後の世界を夢想した言葉でもあることから、古代における「ネノクニ」とは、”人が死後訪れることが出来る遥か彼方の場所”を指し示していたように思われます。
■ この語句(人が死後訪れることが出来る遥か彼方の場所)の醸す印象を踏まえた上で、「ネノクニ」の語が具体的にどのような空間領域を表わした言葉であるかを考慮した場合、今に至るまで語り継がれている地面の下仄暗い世界であるとは考えにくく、どちらかといえば天国や極楽といった、魂穏やかなる世界が想像されますので、「ネノクニ」と同じ場所を指すであろう「ヨミノクニ」も、これと同様にして、安寧として理想的な領域世界を想い描いた言葉である、と類推できます。
・・・とまあそんな感じの世界観設定。